共有不動産を売却したいときの「遺産分割協議書」実例と書き方|トラブル回避のポイントを行政書士が解説

遺言・相続

共有不動産を売却する見込みがある場合は、遺産分割協議書に
「売却方針」

「売却代金の分け方」

「名義をどう扱うか」


を明確に書いておくことが重要です。

共有名義のままだと、売却時には相続人全員の同意が必要になります。

ひとりでも反対すると手続きが止まり、売却が遅れる原因になります。


相続の段階で将来の動きを整理しておくと、トラブルを大きく減らせます。


共有不動産の相続で起こりやすいトラブル

■ 売却の合意がまとまらない

共有名義では、売却に全員の同意が欠かせません。


特に、実際に住んでいる相続人がいる場合は合意形成が難しくなる傾向があります。

■ 相続人の意見が割れ、話し合いが長期化する

不動産は「売りたい」「住みたい」「貸したい」と人によって意見が分かれやすい資産です。


共有状態が続くほど当事者が増え、調整が複雑になります。

■ 相続登記を放置し、次の相続で混乱する

名義が古いまま次の相続が発生すると、相続人が増え、売却までに必要な手続きが大幅に増えます。


【ケーススタディ】兄弟3人で実家を相続した場合

■ 家族構成

亡くなった母の自宅を、長男・長女・次女の3人で相続。


長男は遠方、次女は実家に居住していました。

■ 意見の対立

  • 長男・長女:売却を希望
  • 次女:住み続けたい

共有状態が続くと、次の相続でさらに相続人が増えるおそれがあり、将来の合意形成も難しくなる状況でした。

■ どのように解決したか

話し合いの結果、以下の形で合意に至りました。

  • 次女が不動産を単独相続する
  • 次女が長男・長女へ代償金を支払う

この内容を遺産分割協議書にまとめたことで、相続登記と今後の生活設計がスムーズに整いました。


売却を見据えた遺産分割協議書の作成ポイント

■ 1. 売却方針を事前に書いておく

売却予定がある場合は、協議書に次のように記載しておくと安心です。

「相続後、速やかに売却する」
「代表者を決めて売却手続きを進める」

後日の誤解や対立を防ぐ効果があります。

■ 2. 単独相続+代償分割という選択肢

共有名義は後の手続きが複雑になりがちです。


ひとりが不動産を相続し、他の相続人へ代償金で調整する 代償分割 を選ぶと、売却が必要になったときも進めやすくなります。

■ 3. 売却代金の分配方法まで決めておく

「売れたら分ける」だけでは不十分です。

以下のような点も書いておきましょう。

  • 仲介手数料や税金などの経費をどう扱うか
  • 売却代金の振込先
  • 売却手続きの代表者は誰か

細かく決めておくほどトラブルを避けられます。


遺産分割協議書の記載例(サンプル文)

■ 不動産の特定

第1条 本協議の対象となる不動産は以下のとおりとする。
(1)所在:〇〇市〇〇町〇丁目
(2)地番:〇〇番
(3)地目・地積:登記事項証明書のとおり
(4)家屋番号:〇〇番
(5)種類・構造・床面積:登記事項証明書のとおり

■ 売却時の取り決め

第3条 相続登記完了後、相続人全員の合意により売却する。
第4条 不動産会社の選定と媒介契約は、相続人〇〇を代表者として行う。

■ 売却代金の配分

第5条 売却代金は必要経費を控除後、相続人A・B・Cが各3分の1ずつ取得する。
第6条 売却代金は、各相続人が指定する口座に振り込む。


協議書作成時に避けたいトラブル

■ 相続人の署名漏れ

全員の署名・押印が揃わなければ協議書は有効になりません。


連絡がつかない相続人がいる場合は、早めに確認しましょう。

■ 不動産が複数ある場合の記載漏れ

物件の書き忘れが後の争いにつながります。


登記事項証明書を確認し、一覧化して記載することが大切です。

■ 売却代金の扱いを曖昧にする

経費・税金・修繕費などを誰が負担するか曖昧にすると、トラブルの原因になります。


協議書で具体的に決めておきましょう。


まとめ|共有不動産の売却は「事前の準備」で大きく変わる

共有不動産は、相続直後の判断が後の手続きを大きく左右します。


遺産分割協議書で売却方針や代金の分配方法を明確にしておくことで、将来のトラブルを避けやすくなります。


不安があるときは早めにご相談を

行政書士として必要書類や許可申請を整えつつ、宅建士として市場性や活用方法も含めた提案が可能です。

相続と不動産の両面からサポートしますので、ご希望に合わせて最適な進め方をご案内いたします。

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