実家は売るべきか残すべきか|判断基準と相続への影響を大阪の行政書士が解説

コラム

■ 実家を売るか残すかで悩む家庭が増えている理由

相続の場面では、「実家を売るべきか残すべきか」という相談が非常に多くあります。

近年は子どもが都市部で暮らしているケースが増え、実家に戻る見込みがない家庭が多いためです。

● 空き家化による負担の増加

誰も住まない期間が長くなると、固定資産税や修繕費を払い続ける必要があります。

管理が不十分になると雑草の繁茂や建物の劣化が進み、近隣から苦情が出ることもあります。

● 兄弟の生活拠点の違い

兄弟がそれぞれ別の地域で暮らしている場合、実家をどう扱うかで意見が分かれやすく、話し合いが難航しがちです。


■ ケーススタディ①「実家を残した結果、管理負担が増えた例」

ある家庭は「思い出を残したい」という理由で実家を維持しました。

しかし誰も住む予定がなく、手入れが追いつかない状態が続きました。

● 放置による費用と手間の増加

空き家は傷みが早く、修繕が必要になることもあります。

また、庭の雑草が伸び、苦情対応のため急きょ草刈りを依頼するなど、想定外の費用が重なります。

● 管理役が偏り、家族間で不満に

結局、地元に住む長女が鍵の管理や雑草処理を担当。負担の偏りから兄弟間の関係がぎくしゃくしました。

こうしたケースは非常に多く、親族間トラブルの原因となっています。


■ ケーススタディ②「早めの売却で相続がスムーズになった例」

一方、別の家庭では親が生前に「住む人がいなければ売却してほしい」と明確に伝えていました。

そのため、あらかじめ家族全員が同じ方向を向いていたことで、相続手続きも整理もスムーズでした。

● 生前整理で手続きが効率化

家を売却するためには、家財の処分が必要になります。

親が元気なうちに荷物を整理していれば、処分に時間がかからず相続後の負担も軽くなります。

● 現金化で公平に分けやすい

不動産を売却すると現金で分けられるため、兄弟間の公平性が保たれ、遺産分割も早くまとまりました。

事前の準備が早ければ早いほど、残された家族の負担は軽くなります。


■ 実家を“残す”判断をする際の基準

● 住む予定があるか

相続人に居住予定者がいる場合は残すメリットがあります。

住むかどうか予定が不確かな場合は管理負担が増えやすくなりがちです。

● 老朽化と修繕費の見込み

築年数が古い家は屋根や設備の修繕が必要になるため、必要な費用を事前に把握しておくことが重要です。

想定されるコストによっては売却した方が良い場合もあります。

● 維持費を継続できるか

固定資産税や水道・電気代、火災保険など、居住しなくても必要な費用が発生します。

おおよその年間維持費を事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。

● 今後の売却価値

地域の不動産市場によっては、将来的に売りにくくなる可能性があります。

早めに査定を受けておき、今後の見通し次第では早期の売却も視野に入れて考えましょう


■ 実家を“売る”判断が向いているケース

● 相続人が複数いる場合

不動産は分けにくいため、売却して現金にすることでトラブルを避けやすくなります。

● 適切な売却タイミング

老朽化が進む前に動く方が、売却の選択肢が広がります。

複数社の査定を比較し、相場を把握しておくと安心です。

● 税金と手続きの確認

相続後に売却する場合は「相続登記(名義変更)」が必要です。

また、売却益(買った値段よりも高い値段で売れること)が出れば譲渡所得税が発生する場合があります。

全体の流れを把握しておくと手続きが混乱しません。


■ 結論:家族が納得できる選択には事前の話し合いが不可欠

実家を売るか残すかに明確な正解はありません。

大切なのは、家族が状況を共有し費用・管理・公平性を総合的に踏まえて判断することです。

早めに話し合っておけば、将来のトラブルを大きく減らせます。


■ まとめ

実家の扱いは相続と深く関わるため、早めの準備が重要です。


残す場合は管理と費用の負担を、売る場合は手続きや税金を確認する必要があります。

判断に迷うときは、専門家に相談して手続きを進めると安心です。