不動産は「分けにくい財産」です。
夫婦や家族の相続で最も揉めやすいのが自宅や土地といった不動産。
共有名義のままにしておくと、思わぬトラブルが発生することも少なくありません。
この記事では、夫婦で不動産を持つ際に起こりやすいトラブルと、行政書士がすすめる実践的な回避策を解説します。
夫婦が不動産を持つときに起こりやすい「3つの相続トラブル」
① 共有名義のままにしておくリスク
住宅ローンを組む際などに、夫婦で持分を分けて登記しているケースはよくあります。
しかし、そのまま共有名義を放置すると片方が亡くなった際に相続人が複数登場し、名義が複雑化します。
結果、「誰の許可で売却できるのか」「修繕費を誰が負担するのか」といった問題が発生し、実家を売るにも手続きが止まるケースが後を絶ちません。
② 配偶者が亡くなった後の「持分処理」問題
夫婦のどちらかが亡くなると、その人の持分は相続財産となります。
例えば、夫婦が2分の1ずつ持っていた自宅で夫が亡くなれば、夫の持分は妻と子どもが法定相続分に応じて共有します。
つまり、妻と子どもが共同所有者になる形です。
この構造が、将来的に「子が結婚・独立したあとに自宅をどうするか」で対立を生む要因になります。
③ 二次相続で子ども同士が揉めるケース
一次相続(親の一方が亡くなった時)では問題がなくても、二次相続(もう一方が亡くなった時)で揉めるケースは非常に多いです。
特に「長男が同居していた」「長女が遠方に住んでいる」など、生活環境が違う場合にトラブル化します。
不動産の価値は一物一価であり、分け方を誤ると“公平感”を欠いて争いにつながります。
トラブルを防ぐために知っておくべき法的ポイント
共有名義の基本と注意点
共有名義は、持分ごとに登記されるものの、処分・売却・賃貸には全員の同意が必要です。
一人でも反対すれば手続きが進まず、結果的に「動かせない資産」になりかねません。
遺言書・生前贈与・配偶者居住権の活用方法
トラブル防止の基本は「誰に何をどう残すか」を明確にしておくこと。遺言書を活用すれば共有名義のまま残さずに済みます。
また、2020年の民法改正で導入された配偶者居住権を指定すれば、「自宅には住み続けたいが、土地は子に残したい」といったケースに柔軟に対応できます。
不動産登記(名義変更)を放置しない重要性
相続登記は2024年4月から義務化され、3年以内に登記しないと過料の対象になります。
「そのうちやろう」と放置すると、法的にも不利益が生じます。
登記簿を定期的に確認し、名義が現状と一致しているかをチェックしておくことが大切です。
行政書士がすすめる「実践的な3つの回避策」
① 財産の名義整理を生前に進める
夫婦のうちどちらがどの財産を引き継ぐのか早めに整理しておくことで、遺産分割時の混乱を防げます。
特に共有名義の不動産は、「単独名義+遺言書」の形がもっともシンプルです。
② 相続人間の共有を避ける分割設計
「子ども全員で共有」という形は避けるのが原則です。
代償分割(1人が不動産を取得し、他の相続人に金銭を支払う方法)や換価分割(売却して分ける)を検討することで、公平性を確保できます。
③ 遺言書に「不動産の扱い」を明記する
不動産は特定性が高いため、遺言書に明確に記すことが重要です。
「〇〇市〇〇町〇丁目〇番地の土地は妻に相続させる」といった具体的な記載が望ましいです。
まとめ:不動産は「争族」の火種。早めの整理が安心の第一歩
夫婦で不動産を持っていることは珍しくありませんが共有名義を放置すると相続の場面で思わぬ問題が発生します。
トラブルを防ぐためには名義整理・遺言書・専門家への相談が不可欠です。
少しの準備で、家族の将来が大きく変わります。
ご不安な方は、相続と不動産に詳しい専門家へ早めにご相談ください。



