賃貸物件の相続は、普通の不動産よりも話し合いが難しくなることが多いです。
価値の考え方や管理の手間が人によって違うため、家族の中で意見が分かれやすいからです。
ここでは、賃貸物件の相続でよく起きる問題と、事前にできる対策をわかりやすくまとめました。
■ 賃貸物件の相続がむずかしくなる理由
● 評価額(価値)がずれやすい
賃貸物件の価値は、固定資産税の評価額や路線価、
家賃から計算する方法など、いくつもの基準があります。
入居状況や家賃の設定でも大きく変わるため、
相続人どうしで「この物件はいくらの価値があるのか」という考えがずれやすいのです。
● 家賃収入が変わりやすい
同じアパートでも、空室が増えたり修理が必要になったりすると、年間の収入が変わります。
この収入の違いが、相続の話し合いに影響することがあります。
● 管理の負担が偏りやすい
入居者への対応、修理の手配、家賃の確認など、
賃貸物件の管理には日々の作業が欠かせません。
共有名義にすると、動く人と動かない人が出てしまい、不満の原因になることがあります。
■ 賃貸物件でよくある相続トラブル
● 共有名義だと話が前に進まない
売却や建て替えなど大きな決定は、基本的に相続人の全員が賛成しないと進められません。
一人でも反対すると、物件が放置されたままになってしまいます。
● 家賃の分け方でもめる
管理をしている人は「その分取り分を多くしたい」と考えやすく、
管理をしない人は「平等に分けたい」と言いがちです。
この違いが争いのきっかけになることがあります。
● 修繕費を誰が払うかで対立
古いアパートは修理が必要ですが、費用を出すことに消極的な相続人がいると、
他の人が立て替える状況が続き、不満が大きくなります。
■ 遺言で決めておくと安心なこと
● 相続する人を一人に決める
賃貸物件は、ひとりがまとめて相続したほうが管理がしやすく、トラブルを避けやすいです。
● 管理や収益の扱いを整理しておく
・管理会社と連絡を取る人
・家賃の振込先
・過去の修繕の記録
これらの情報を遺言の付属資料としてまとめておくと、残された家族が困りません。
● 代償金(ほかの相続人に渡すお金)の方針を決める
ひとりが相続する場合、ほかの相続人へお金を払うことがあります。
支払うのか、払う場合はいくらなのかを決めておくと、後の話し合いがスムーズです。
● 管理会社への引き継ぎ方法を書いておく
名義変更の時期や必要な書類など、最低限の流れを示しておくと、相続後の混乱を避けられます。
■ よくある事例
● ケース①:兄弟3人で共有した結果、話が進まない
とてもよくあるケースです。
兄弟間の意見がまとまらず、修繕や売却も出来ずに不動産が数年放置。
● ケース②:管理する長男と、手伝わない兄弟が対立
長男は「自分が動いている分、取り分を増やしたい」、他の兄弟は「平等に分けたい」と主張し、関係が悪化しました。
■ 相続を穏やかに進める3つの対策
- 単独相続+代償金で公平性を保つ
- 公正証書遺言で具体的に書いておく
- 生前に書類や情報を整理しておく
どれも大きな手間はかからず、効果はとても大きい方法です。
■ まとめ
賃貸物件は、価値の考え方や管理の負担が人によって違うため、相続で特に揉めやすい財産です。
しかし、遺言で方針をはっきり示し、必要な情報を整理しておけば、ほとんどの問題は避けられます。
ご不安があれば専門家にご相談ください。



