就労継続支援A型を立ち上げる際、最も大きな固定費の一つが「家賃」です。
利用者への給与やスタッフの人件費を確保しつつ、どの程度まで家賃を支払えるかは、事業の安定性を左右します。
家賃設定を誤ると、数年で赤字に転落するリスクもあります。
本記事では、家賃の目安を具体的な数字で整理し、持続可能な運営のために押さえておくべきポイントを解説します。
目次
- 就労継続支援A型における家賃の重要性
- 家賃の目安を知るために押さえておきたい数字
- 実際の家賃目安はいくらか?規模別シミュレーション
- 家賃負担を軽くする工夫と支援制度
- 家賃以外の固定費とのバランス
- 黒字化事例から学ぶ家賃設定の成功パターン
- まとめ:家賃目安を意識して持続可能なA型事業運営を
就労継続支援A型における家賃の重要性
就労継続支援A型は、障害のある方が雇用契約を結び、最低賃金以上の給与を受けながら働ける福祉サービスです。
利用者の工賃(給与)は国からの給付費や生産活動の売上でまかなわれます。
しかし、ここで忘れてはならないのが「家賃」の存在です。
毎月必ず発生する家賃は赤字要因になりやすい費用です。
固定費の中でも特に金額が大きく、黒字化の可否を左右します。
家賃の目安を知るために押さえておきたい数字
売上高に占める家賃比率の考え方
一般的な小規模事業においては、売上高に対して「家賃は5~10%以内」が望ましいとされます。
これは就労継続支援A型にもあてはまります。
例えば、年間売上高が5,000万円の事業所なら、家賃の目安は月額20~40万円程度が適正であるといえます。
損益分岐点(黒字化ライン)の算出
黒字化できるかどうかを判断するには、「損益分岐点」を知る必要があります。
損益分岐点とは、売上が固定費と変動費をちょうどカバーする地点のことです。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1-変動費率※)
ここで「固定費」の代表例が家賃です。固定費が大きいほど、損益分岐点は高くなり、黒字化が難しくなります。
※変動比率=売上高に対して変動費(売上や生産量に比例して変わる費用)が占める割合
実際の家賃目安はいくらか?規模別シミュレーション
小規模事業所(利用者10名程度)
月の売上目安:250~300万円
→ 家賃の目安:10~20万円
中規模事業所(利用者20名程度)
月の売上目安:500~600万円
→ 家賃の目安:20~40万円
大規模事業所(利用者30名以上)
月の売上目安:800~1,000万円
→ 家賃の目安:40~70万円
📊 規模別シミュレーション
比率を超えるとリスクが急増します。
家賃負担を軽くする工夫と支援制度
補助金や助成金の活用
自治体によっては、障害福祉事業者向けに「施設整備補助金」や「賃料補助制度」が用意されています。
物件を探す前に、補助金の有無を確認すると安心です。
物件選びの工夫と家賃相場
不動産の現場感覚から言えば、同じエリアでも立地によって家賃相場は1~2割違うことがあります。
家賃以外の固定費とのバランス
家賃だけに目を奪われがちですが、人件費・光熱費・車両費なども固定費に含まれます。
特にA型は雇用契約を結ぶため人件費比率が高く、総固定費の6~7割を人件費が占めることもあります。
家賃は調整可能な固定費の一つです。
人件費・光熱費・車両費とのバランスを常に確認することが重要です。
黒字化事例から学ぶ家賃設定の成功パターン
就労継続支援A型の経営改善事例を調べると、黒字化に成功した事業所には共通点があります。
- 家賃は売上の5~8%に収めている
- 不要に広い物件を避け、稼働率を最大化している
- 家賃を抑えた分を利用者の賃金や設備投資に回している
逆に、赤字に陥った事業所では「立地にこだわりすぎて高額家賃を払った例」が目立ちます。
まとめ:家賃目安を意識して持続可能なA型事業運営を
就労継続支援A型における家賃の目安は、売上に対して5~10%以内が安全ラインです。
一般論としては、小規模なら10〜20万円、中規模で20〜40万円、大規模でも40〜70万円程度が現実的な家賃の目安です。
家賃を適切に管理できれば黒字化の可能性が高まり、事業の継続性が増します。
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