(出典:法務省・幻冬舎ゴールドオンライン 2025年10月報道)
いま注目される「自筆証書遺言書保管制度」とは?
2020年7月にスタートした自筆証書遺言書保管制度が、2025年に累計10万件を突破しました。
制度開始から5年、全国の法務局で着実に利用が広がっています。
この制度は、これまで自宅で保管していた「自筆の遺言書」を、法務局が安全に保管してくれる仕組みです。
「遺言を作ったけれど、家族に見つからない」「紛失や改ざんが心配」といったトラブルを防ぐ目的で導入されました。
法務省の発表によると、利用者は60~70代が中心で、単身世帯・高齢夫婦・地方在住者の利用が目立っています。
相続トラブルの未然防止策として、今後さらに活用が進むと見られています。
なぜ利用が増えているのか?3つの背景
① 「公正証書遺言」よりも手軽で費用が安い
自筆証書遺言書保管制度の最大の魅力は、作成・保管の費用が安いことです。
法務局での保管費用は 1通あたり3,900円(2025年11月現在)と、数万円かかる公正証書遺言に比べて手軽です。
また、行政書士など専門家に相談しながら自筆で作成できるため、費用を抑えつつ法的に有効な遺言を残せます。
② 紛失・改ざんのリスクを防げる
従来、自筆の遺言書は自宅の金庫や引き出しに保管するケースが多く、「見つからなかった」「書き換えられた」などのトラブルが後を絶ちませんでした。
法務局に預けておけば、原本は厳重に保管され、第三者による改ざん・隠匿のリスクが実質ゼロになります。
また、相続発生後は、相続人が「遺言書保管事実証明書」を取得すれば、すぐに遺言の存在を確認できます。
つまり、“確実に家族へ伝わる遺言”を実現する制度といえます。
③ 家族が遺言の内容を確認できる安心感
制度の特徴のひとつが、家庭裁判所の検認が不要になる点です。
これにより、相続開始後に家族が法務局で遺言書を閲覧・証明書を取得し、速やかに相続手続きへ移れます。
従来の「開封のために家庭裁判所へ申立てを行う」手間が不要になり、
時間と手間を大幅に減らせるため、相続人にもメリットがあります。
制度利用の流れ(チェックリスト)
実際に制度を利用する際の流れを、ステップごとに整理しました。
| ステップ | 手続き内容 | 注意ポイント |
|---|---|---|
| ① | 遺言書を自筆で作成 | 署名・押印・日付の記載が必須。パソコンでの作成は不可。 |
| ② | 法務局に予約 | 最寄りの「遺言書保管所(法務局)」で事前予約を行う。 |
| ③ | 本人が来所して提出 | 遺言書・本人確認書類・手数料(3,900円)を持参。代理人提出不可。 |
| ④ | 受理証の交付 | 法務局で正式に受理されると「保管証」が交付される。 |
| ⑤ | 家族による確認 | 相続開始後、相続人は「遺言書情報証明書」を請求できる。 |
💡 ワンポイント:誤字脱字や不備があると無効になる可能性があります。
提出前に行政書士に文面チェックを依頼するのがおすすめです。
公正証書遺言との使い分け方
制度の普及とともに、「どちらを選ぶべきか」と悩む方も増えています。
以下の基準で判断するとよいでしょう。
| 比較項目 | 自筆証書遺言書保管制度 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 費用 | 3,900円 + 印紙代程度 | 数万円〜十数万円 |
| 作成の手軽さ | 自筆で簡単に書ける | 公証人と相談して作成 |
| 法的安全性 | 記載ミスのリスクあり | 高い(専門家関与) |
| 検認手続き | 不要(保管制度利用時) | 不要 |
| 適する人 | 財産が少なめ・簡潔な内容 | 不動産・会社経営など複雑な相続 |
結論として、簡易な遺言=自筆証書遺言+保管制度、
複雑な遺言=公正証書遺言という棲み分けが実務的です。
行政書士がサポートできること
行政書士は、遺言書の内容が法的に有効となるよう、文案作成や財産整理をサポートします。
具体的には次のような支援が可能です。
- 遺言書の文面チェック(誤記・法的不備の確認)
- 相続人・財産の整理サポート
- 法務局提出前の書類確認
- 公正証書遺言への切替相談
特に「自分で書けるけれど不安」「家族に確実に伝えたい」という方にとって、
行政書士の助言は大きな安心材料となります。
まとめ|「自筆証書遺言+保管制度」で“確実に残せる遺言”を
10万件を超えた自筆証書遺言書保管制度は、もはや特別な制度ではなく、
「誰でも安心して利用できる終活ツール」として定着しつつあります。
制度を使うことで、
- 紛失・改ざんを防げる
- 家族がすぐに確認できる
- 検認手続きが不要になる
といったメリットが得られます。
遺言は「書くこと」よりも、「確実に残すこと」が大切です。
ご自身の状況に合わせて、行政書士など専門家と相談しながら最適な方法を選びましょう。
💬 遺言作成を検討中の方へ:制度の仕組みや注意点をわかりやすくご説明いたします。お気軽にご相談ください。



