【就労継続支援A型】賃金を上げる7つの基本戦略 工程設計と単価交渉の勘所

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就労継続支援A型事業所(以下、A型事業所)において、利用者の賃金向上は経営の重要課題の一つです。

国の最低賃金保証があるとはいえ、利用者が望むだけの生活を営むには、実質的な賃金水準を引き上げる必要があります。

本記事では、厚労省の調査や好事例集を踏まえ、A型事業所が「持続的に賃金を上げる」ための7つの基本戦略を解説します。

特に成果が出やすい「工程設計」と「単価交渉」に焦点を当て、現場で実践できるヒントを紹介します。

目次


A型事業所における賃金の現状と課題

全国のA型事業所では、月額の平均賃金はおおよそ7万5,000円(令和元年度時点)にとどまっています。

最低賃金は保証されているとはいえ、生活保障としては不十分な額です。

賃金の原資となる「生産活動収支(業務売上-必要経費)」が確保できないと、結果的に経営が不安定化し、利用者への支払いにも支障が出ます。

賃金が上がらない理由としては、以下が挙げられます

  • 単価が低い業務を請け負っている
  • 利用者が作業工程の一部にしか関与していない
  • 工程設計が不明確で、支援員の稼働が多すぎる
  • 生産性向上のためのPDCAが回っていない

このような状況を打破するには、全体の戦略設計が必要です。

就労継続支援A型の賃金向上に効く「7つの基本戦略」とは

厚生労働省のガイドラインや調査研究では、

A型事業所の経営改善に有効な「7つの基本戦略」が明示されています。

【売上拡大系】

  1. 価格アップ(単価交渉)
    • 顧客との交渉によって、請負業務の単価を上げる施策。
  2. 商品開発
    • 利用者の能力を活かせる新たな製品・サービスを開発。
  3. 販路開拓
    • 顧客を広げ、新規市場への展開。

【利益率向上系】

  1. 原価管理
    • 材料費や外注費の削減による利益確保。
  2. 生産性向上(工程改善)
    • 工程の細分化や支援方法の見直しで、利用者の関与率を高める。

【事業ポートフォリオ系】

  1. 新規事業
    • 全く新しい領域への進出(例:内職業務から農業へ)。
  2. 絞り込み・撤退
    • 採算の合わない業務からの撤退や整理。

これらのうち、即効性が高く、かつ多くの事業所が成果を出しているのが「価格アップ」と「生産性向上」です。

工程設計で生産性を最大化するポイント

工程設計とは、業務を「誰が、どこまで、どのように」行うかを決定する作業です。

【工程設計の基本ステップ】

  1. 作業アセスメント(利用者の得意・不得意を見える化)
  2. 工程の細分化(単位作業を分けて割り当て)
  3. 治具やマニュアルの整備(再現性の確保)
  4. 稼働率の見直し(「見守り」を削減)

作業工程が複雑なままでは、支援員が多く介入しなければならず、その分コストもかかります。

利用者が関与できる範囲を広げることで、「支援者人時売上」(支援者1時間あたりの売上)を改善し、経営効率が上がります。

単価交渉を成功させる3つの実務視点

単価を上げるには、顧客に納得してもらえる根拠が不可欠です。

1.支援者人時売上で判断

単価が高くても支援員の負担が大きければ利益は出ません。事業所の基準に照らして判断します。

2.工程表と成果物を提示

工程表や成果物サンプルを示すことで、口頭以上の説得力を持たせられます。

3.成果・納期・品質を可視化

納期遵守率や不良率などの数値を示すと、交渉はスムーズになります。


【事例紹介】単価1.5倍を実現した工程改善の実例

千葉県のあるA型事業所では、作業工程を10ステップに細分化し、利用者が関与できるステップを6まで拡大。

これにより、支援者の関与時間が減り、1時間あたりの売上が1.6倍に。

さらに、工程表と成果物写真を提示して顧客に「業務の安定性」と「品質の高さ」を説明。

結果、単価が1個120円から180円へアップしました。

要点は「数値で語る」「工程で魅せる」「成果で示す」の3つです。

まとめ:明日からできる賃金向上の第一歩

賃金を上げるには、待っていても何も変わりません。

工程設計で生産性を見直し、単価交渉で収益性を改善する。それが、A型事業所の明日を変える「現場経営」です。

まずは、自事業所の作業を分解し、「誰が何をしているか」を見える化することから始めましょう。


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